おやじは荒野をめざす【アラスカ編】

がむしゃらに突き進むおやじに、アラスカは何を与えてくれるのだろう、、、

(6) デンプスターとダルトン【前半】

 北極海に通ずる道はユーコンのデンプスターハイウェイ、アラスカのダルトンハイウェイの二つしかない。両者ともとんでもない悪路でしかも長距離。ハイウェイとは名ばかりで、デンプスターは全線未舗装、ダルトンは八割が未舗装。「荒野の一本道」だから来た者は必ず同じ道を戻らなくちゃいけない。実質的な出発点の地方都市から北極海まで、道のり片道900キロ弱は東京〜函館の直線距離に相当し、往復の1700キロ強となると東京〜アラスカの5500キロの三分の一近い。宿泊施設が少ないだけじゃなく、ガソリンスタンドがダルトンは三ヶ所、デンプスターは五ヶ所しかない。パンク対策は勿論だが、対向車の飛ばした小石によるフロントガラス破損にも常に注意が必要だ。私は悪路専用の4WDをわざわざレンタルし直して、この二つの悪路に挑戦した。

 100年前のゴールドラッシュの中心都市ドーソンからクロンダイク街道を1時間走り、頑丈そうな木製の橋を渡るとデンプスターハイウェイが始まる。進むに連れて山が近くに迫り、道は右に左にアップとダウンを繰り返しながら、ひたすら北を目指す。トムストーン辺りで山稜は険しさを増し、日本ではありえないような岩峰・奇峰が見え隠れする。その後、半日走って山の表情はやっと穏やかになり、丘と呼ぶに相応わしいなだらかなアップダウンが目立ってくる。そのど真ん中に中継地点のイーグルプレーンズがある。山や丘と平原のせめぎ合いはしばらく続くが、フェリーで二つの大きな川を渡った辺りで永久凍土=ツンドラが主役になる(地理の授業で"ツンドラ"と習ったが、こちらでは"タンドラ"と発音)。その後は行けども行けどもツンドラ。その只中にあるイヌビクの町は謂わばツンドラのオアシス。更に100キロ走って、最果ての町トクトヤクトクでやっと北極海に達するのだ。

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(左上Aから右へ、最後はL) A日本ではありえないような岩峰 B辺り一面の草原が不思議な幾何学模様を描く Cチョウノスケソウの草原が海のようにどこまでも続く D岩も植物もストライプを描く。地質の関係からか E果てしなく続く直線。ただしツンドラの影響でアップダウンがある F砂埃を上げて疾走するクルマ Gワイパーが効かない H霧が出たらスピードダウン Iやっちまったぜ、パンク J大きな川は橋ではなくフェリーで渡る。無料 Kやっと辿り着いた北極海。感無量 L最果ての集落トクトヤクトク

 

▼【後半】に続く