ダルトンハイウェイは内陸アラスカの中心都市フェアバンクスが起点だ。スケールの大きい丘陵を縦横に走る快適な舗装道路から始まるが、数時間で未舗装が現れ、北上するに連れて未舗装の割合が増し、北極圏突入後はほぼ未舗装になる。部分的にでも舗装されているのは助かるが、時折、ボコッととんでもない大穴があり、常に前方を注意しなくてはいけないし、注意しても防ぎきれないことしばしばで、車に与えるダメージは未舗装より大きい。この道の文字通りの"山場"はブルックス山脈を越えるアチガン峠だ。ブルックス山脈の最高標高は3000メートルに満たないけれど、本州の半分くらいのスケールのとてつもない山岳地帯が北極圏に広がり、ラストフロンティアという言葉がぴったり来る。また、ダルトンのもう一つの特徴は長大なパイプラインに沿って走っていることで、地を這う銀色の巨大な竜のような姿が運転中もずっと見え隠れする。ダルトンハイウェイはパイプラインの保守点検及び北極海に面したプルドーベイの石油基地への物資補給というのが本来の役割なのだ。
(左上Aから右へ、最後はL) Aダルトンはのっけから山火事で始まった Bどんな地形をも物ともせずに貫通するパイプラインは「アメリカの意思」そのものだ Cブルックス山脈が近づいてきた Dホテルとは名ばかりで軍隊の宿舎のようだった Eクルマの私は彼らには頭が上がらない F不思議な地学的模様はこちらでも至る所で見られる Gアラスカ版"天下の剣"のアチガン峠を越しホッと一息 H少しでも起伏があれば川は蛇行し三日月湖を造る。そこら中、三日月湖だらけ Iツンドラの平原をまっすぐに伸びる道の先に北極海が見えてきた Jオオカミ。足跡しか見られないところが、またいかにもオオカミらしい Kついにジャコウウシの群れと遭遇。嬉しかったなあ Lまたまたやらかしたパンク。でも通りかかったトラック野郎があっという間にタイヤ交換をしてくれた
地図で見ると同じようなイメージを抱いてしまうけれど、デンプスターハイウェイはイヌビクやトクトヤクトクに住む人々のための生活道路であり、ダルトンハイウェイは石油採掘のための産業道路だった。ツンドラにも微妙な違いがあり、何よりも、カナダとアメリカ、二つの国の性格の違いがよく表れた"ハイウェイ"であった。