おやじは荒野をめざす【アラスカ編】

がむしゃらに突き進むおやじに、アラスカは何を与えてくれるのだろう、、、

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

(14) ドライキャビン

車中泊を三日連続してると相当きついことが分かった。車のセカンドシートを倒してフルフラットにし、荷物を一方に寄せてスペースを確保。薄い掛け布団とスポンジを敷布団みたいに下に敷き、寝袋はモンベルの高級品。よく眠れるし、汚ならしい安宿などよりよ…

(13) 納豆と本を愛する男、ランス

フェアバンクス郊外のチナリバーで大して面白くもない釣りを終え河畔のベンチで一人ぼーっとしていた時、ランスは現れた。車を停め、ズズズっと私に近寄り、いきなり「僕は来週、ビーバークリークにグレイリング釣りに行くんですよ。あそこは釣れた魚食べれ…

(12) 氷河を実感する

海岸が凸凹やギザギザになっているリアス海岸ついては、多くの日本人は聞いたことがあるはずだ。岩手県の太平洋側や福井県の若狭湾などが有名で、水の侵食が何千年、何万年も繰り返されて出来上がるらしい。ふーん、そんなものかな、、、とこれはなんとなく…

(11) ユーコン川の畔にて ー ポールの老母【後半】

次の日、村をぶらついていると、ユーコン河畔でボーッと遠くを見ているばあちゃんに会った。 「やあ、また会いましたね。昨日はご馳走様でした」 「ふんにゃ、ふんにゃ、、、」 「おばあちゃんはユーコン川が好きそうですね」 「そりゃあそうさぁ、、、ユー…

(11) ユーコン川の畔にて ー ポールの老母【前半】

ビーバー初日、村の中を写真を撮りながらあてどなく歩いていたら、先ほど学校で会ったイヌイットの男の人が「今、サーモンを料理しているから、晩ご飯まだのようなら食べに来ないか」と誘ってくれた。宿泊施設のない僻地ゆえ、山用のわずかばかりの食料で我…

(10) ユーコン川の畔にて ー フランク安田の偉業【後半】

ビーバーは人口100人程度、ツンドラの海に浮かぶ"陸の孤島"だ。写真を撮りながらのんびり歩いても半日とかからずに回れてしまう。家々の入り口にはヘラジカやカリブーの角が飾られていて、何に使うのか分からない、おそらくはウン十年前に活躍したに違い…

(10) ユーコン川の畔にて ー フランク安田の偉業【前半】

鎖国時代に海外で活躍した日本人といえば山田長政やジョン万次郎が有名だけれど、明治後半のアラスカで極寒の地の村人を救い、当地では今も「アラスカのモーゼ」と尊称される日本人がいたことはあまり知られていない。 安田恭輔、後のフランク安田は、明治維…

(9) パルナシウスを求めて【後半】

7月3日、晴れ時々曇り。気温が低めなのはいいとしても、風が強いのが気にかかる。それに一般の観光客?みたいな人たちがちょこちょこやって来る。でも、そんなのは関係ない。めざすものに出会えればいい、それだけである。前回より飛んでいるチョウの数が…

(9) パルナシウスを求めて【前半】

ホワイトホースの観光案内所でたまたま手にしたパンフレットを見て、私は思わず「お、よ、ょ、」とのけ反った。「ケノヒルには珍しいチョウが生息していて、ケノシティーには研究所もある。チョウの名はパルナシウス・エベレスマンニ、、、」。 あまりにも"…

(8) 消えた白いポール【後半】

次の日の夜、8時半過ぎ。昨日、白いポールが見えた時刻まであと少しだ。私は一つの「仮説」を立てた。ここは北極圏に近く、夜になっても太陽がなかなか沈まずに地平線に沿って移動する。真横に近いくらいの角度で日の光が辺りを照らし、すべてのものに長い…